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 めざせ!体力強化 <特別編>「艦上体育」で練成

乗艦歴10年の幹部自衛官に聞く

 ソマリア沖・アデン湾で海賊対処に継続して当たるなど、行動・任務が増えている中、海自では艦艇の甲板や格納庫でトレーニングを行い、乗員の体力錬成に努めている。艦艇勤務歴のある幹部自衛官に「艦上体育」の概要を聞くとともに、甲板など狭く限られた場所でも実施できるトレーニングを紹介する。


海自艦艇の甲板や格納庫内で

 甲板上でランニングを行う隊員(ソマリア沖・アデン湾の派遣海賊対処行動水上部隊・29次隊の護衛艦「せとぎり」で)

 力を入れる三つの基盤のうちの一つ、「人的基盤」の強化として海自は体育に力を入れ、出港中の艦上においても乗員の錬成に取り組んでいる。

 第1護衛隊群など主力艦艇部隊が置かれる横須賀基地に勤務する乗艦歴約10年の幹部自衛官によると、トレーニングは主にランニングが行われる。

 時間は1時間前後。コースは艦の上甲板を回るコース(「あめ」型護衛艦で1周約250メートル)や、飛行甲板(ヘリ甲板)を回るコースなど艦によって異なる。同じコースを使用し、ウオーキングを行う隊員もいるという。

 また、ランニングを促進するため、ランニング量(距離)をグラフ化し、居住区間に掲示している。

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 格納庫で同僚の補助を受けながら懸垂を行う隊員(ソマリア沖・アデン湾の派遣海賊対処行動水上部隊・29次隊の護衛艦「せとぎり」で)

 格納庫内で腕立て伏せや腹筋、背筋など筋力トレーニングを行うことも。ただバーベルなどの器具を置く艦は少なく、自体重で行うことが多い。

 艦上体育の時間は、任務や訓練にもよるが、航海中の運動不足解消のため毎日2~3時間が計画されている。時間外においても、自分の当直時間以外の時間に居住区や倉庫内で行っている隊員もいるという。

 各艦艇のうち、補給艦や輸送艦、「ひゅうが」型、「いずも」型各護衛艦などは、「巨大な格納庫があるため、天候や海面状況に関係なく実施可能です」と幹部自衛官。実施項目は、大きな差はない。

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 レクリエーションの大縄跳び大会で汗を流す隊員(27次隊の護衛艦「てるづき」で)

 また「艦上レクリエーション」として、海外長期出港中の艦艇の場合、月に1~2回の頻度で綱引きや大縄跳びなどが行われる。

 一方、艦上体育を行っていても陸上勤務者と比べるとどうしても運動不足になりがちになるため、「食事の摂取カロリーには気を付けるよう指導しています」と幹部自衛官。

 ランニングや自体重での筋力トレーニング、さらに食事のカロリー摂取量にも留意し、隊員たちは強化、錬成に努めている。


「サーキット」「スロトレ」「体幹トレ」

 「艦上体育」で行えるトレーニングには次のようなものがある。

 ◇「サーキットトレーニング」
「めざせ!体力強化 <45>サーキットトレーニング」を参照)

 ◇「スロートレーニング」

 【ポイント】自体重または軽重量で、ノンロック(腕や脚などを曲げ切らず、伸ばし切らない)で行う。

 【実施方法】上半身、体幹、下半身の部位ごとにメニューがある。

 「プッシュアップ」(上半身)は、腕立て伏せの姿勢から3秒かけて上体を下ろし3秒かけて上げる。呼吸は下ろす時に吸い、上げる時に吐く。

 「ニー・トゥ・チェスト」(体幹)は、地面(床)に尻を着き両手を後方に置いて体を支える。3秒かけて膝を胸に近付け3秒かけて胸から離す。

 「スクワット」(下半身)は、両手を前に出し、腿が地面(床)と平行になる直前まで膝を曲げ、腰を下ろす(平行になるまで曲げるとノンロックにならない)。3秒かけて腰を下ろし3秒かけて上げる。

 ◇「体幹トレーニング」

 体幹トレーニングに励む隊員(ソマリア沖・アデン湾の派遣海賊対処行動水上部隊・29次隊の護衛艦「せとぎり」で)

 【ポイント】体を一定時間固定させて負荷をかけ体幹を強化。インナーマッスルが鍛えられる。

 【実施方法】「フロント」は、うつ伏せになって、両肘と両つま先の4点で体を支える。「サイド」は、片方の肘を肩の下に置いて(横を向いて)体を支える。それぞれ30秒間を3セットほど行う。

 

 

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